帯分数
そして生温いコーラを飲み干した。
気怠い甘さが口の中に残る。
昨日の花火はベランダに転がったまま。
風に揺れるカーテンは日差しを浴びて淡く透けた。
全部お見通しだったんだ。
そして僕はというと、鏡の中の男にこう言う。
お前は誰だ。
あの夏の午後。
錆び付いた鉄棒にぶら下がった。
逆上がり、また僕が飜る。
また違う顔を見せる。
時間をかけて作り上げる。
壊れないように作り上げる。
本当の僕を君にあげる。
思い上がる僕に君はこう呟く
お前は誰だ。
地図を広げよう。
迷わないように。
僕はここだよ。
わかってるよ。
手持ち花火が木霊する。
迷わないように。
地図を広げよう。
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